ソフトウェア人財育成の最新成果と今後の展望
急成長する自動車業界に対応するため、リスキリングを通じた人財育成が進行中です。
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リスキリングの取り組みと成果
自動車業界における技術の進化に伴い、特にソフトウェアを扱える人財が不足しているという現状があります。当社では、この課題に立ち向かうため、数年前から「リスキリング」に力を入れ、育成カリキュラムを整備してきました。具体的には、車載システムを自立して開発できるスキルを持つ人財を3年間かけて育成することを目指しています。
- CASE:自動車業界における以下の四つの革新的な技術/サービス領域の頭文字をつなげた造語
【C】Connected(コネクテッド)
【A】Autonomous(自動運転)
【S】Shared & Service(シェアリング)
【E】Electrification(電動化)
現在、約100名のソフト人財が育成されており、その中には小型モビリティ用コントローラの量産開発に従事している仲間もいます。しかし、社内の製品開発プロジェクト数には限りがあるため、一部のメンバーは社外企業に出向し、実際の業務経験を重ねています。これにより、彼らは電動化における重要なコンポーネントの仕事ができるようになり、技術を磨く機会を得ています。
育成プログラムの展開
当社の育成カリキュラムでは、基礎教育から実践的なOJTまで、段階的に学びを進められるよう工夫されています。基礎教育は3か月の期間を設定し、チーム全体で基礎知識を共有し、理解を深める活動が行われています。その後は開発テーマ毎のプロジェクトチームでのOJTを通じて、実際の業務に即したスキルを習得していきます。
OJTでは、プロジェクトリーダーや先輩社員と共に、電動製品や自動運転の要素技術・応用技術を使った開発プロジェクトに参加することで、リアルな環境でスキルを磨く機会が得られます。
実際に数年前にOJTに参加したリスキルメンバーは、「ソフトウェアに関する知識がない状態からスタートしたが、基礎知識や技術を効率よく学ぶことができた」と言います。しかし、知識を得ることができても、それを実践に移す難しさに直面していました。最近では、このような声を反映し、OJTのカリキュラムが年々見直され、改善が進んでおり、実際の案件に近い仮想テーマを用いて、より実践的な開発を繰り返して経験を重ねることでレベルアップを図っています。さらに、ソフトウェア開発職種で採用されたメンバーがOJTに参加している教育環境では、同期とともに考える機会が増え、自分たちでアイデアを出し合っています。若手の人財が積極的に意見を言える環境をつくることで、自分たちで考える力を養っています。
OJTに参加した若手メンバーは、今後の展望として、社内でまだソフトウェアが整っていない分野や、自動運転やアウトカー等の領域に挑戦したいという強い意欲を持っています。また、OJTに参加したメンバーたちがプロジェクトリーダーとして、研修プログラムの改善に取り組むことも期待されています。
キャリアパスと成長の促進
当社はソフト人財として成長していく過程で、各社員が自分の成長を実感できることを大切にしています。具体的には、メンバーの評価を視える化できる個別のカルテを社員ごとに作成し、それに基づいて進捗を見守りながら個人適正に応じたフォローを実施し、キャリア目標を設定しています。これにより、技術専門職やマネジメント、品質管理などの多様なキャリアの選択肢を提供し、各人が興味を持つ分野で成長できるよう支援しています。
今後の展望と挑戦
当社では、これまでに100名のソフト人財の育成を進めてきましたが、今後はさらに多くの人財を育てていくことを計画しています。私たちは、CASEや電動製品市場におけるソフトウェア対応への進出が、企業の成長にとって重要であると考えています。将来的には、外部の人材との融合や新卒採用も視野に入れ、さらなる人財の拡充を図る予定です。そして、専門知識を持つ人財やリーダーシップを発揮できる人財の育成には、より一層の力を入れていく方針です。今後育成するソフト人財もさらに増えていくため、保有スキル・専門知識のばらつきなどがより大きくなることが予想されますが、社員全体の能力を一律に底上げすることを目指して、育成カリキュラムの改善をしていきます。
また、ソフトウェア開発の組織には、メンバー同士が自然に教え合う風土の構築が望まれます。技術に関する知識や仕事のやり方について、メンバーが互いに学び合える環境を整え、より効果的なスキル習得により個人の成長だけでなく、組織力向上を目指します。
人財強化と組織強化を通じて、新規事業としての電動化製品開発を加速させ、当社はこれからも止まることなく、未来に向けて進んでいきます。
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