社会
人権尊重の取り組み
愛三グループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」をはじめとする国際規範を支持し、持続的な成長と中長期の企業価値向上の観点からも人権の尊重を重要と捉え、サステナビリティ基本方針に基づくマテリアリティ(重要課題)の一つ「地域と共生し持続的社会に貢献」の枠組みの中で取り組みを進めていきます。

愛三工業人権方針
愛三グループは、2022年8月29日に「愛三工業人権方針」を策定しました。
この方針は愛三グループ全ての役員・従業員に適用し、取り組みを推進します。ビジネスパートナーをはじめとするすべてのステークホルダーと継続的に対話を重ね、本方針に基づいて共に人権尊重の取り組みを推進してまいります。
「愛三工業人権方針」がカバーする人権課題の範囲
- 日本政府が公表した「ビジネスと人権に関する行動計画」内の企業が配慮すべき主要な人権及び企業活動に関連する人権に関するリスク(26項目)
- コンプライアンス遵守、地域との共生に向けた社会課題
推進体制
サステナビリティ基本方針に基づき、経営層がESG分野全般の方向性と適正性を包括的にマネジメントレビューするため、2022年4月にサステナビリティ委員会を設置しました。2025年7月には、外部環境の変化や内部運用の効率化を踏まえ、会議体の構成と運営フローを見直し、より効率的で機能的な体制へと改編しました。
人権尊重の取り組みは、人財基盤統括役員を統括責任者とし、総務部を主管部署として経営企画部(法務、渉外、広報)・人事部(従業員)・調達企画部(サプライヤー)が連携し推進しています。取り組みは、各部門が選出したメンバーで構成される「全員活躍推進会議」においてマネジメントレビューを実施し、その結果をサステナビリティ委員会を経て取締役会へ報告する体制となっています。
人権デューディリジェンス
「愛三工業人権方針」に基づく取り組みを実践するために、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り人権デューデリジェンスを実施しています。
社内のアンケート調査や法務省・外部評価機関の調査項目を基に愛三グループの顕著な人権課題を特定し、優先的に取り組みを進めています。
①特定
人権リスク評価

顕著な人権課題
| 課題 | 取り組み |
|---|---|
| ハラスメント | コンプライアンスをはじめとする教育を通して、従業員一人ひとりが安心して働ける環境を構築していきます |
| プライバシーの保護 | 個人情報の取扱いのみでなく、私生活上の事実情報に配慮し取扱いに対し啓発活動を進めていきます |
| 多様な人財活躍 | DEIを浸透し、誰もがイキイキと活躍できる職場環境を構築していきます |
| サプライチェーン (技能実習生含む) |
仕入先へ訪問し、対話を通じて共に人権の取り組みを進めていきます |
②予防策や軽減策
人権侵害の回避・防止・軽減するために顕著な人権課題に対して主に下記の活動を実施しました。
ハラスメント
各工場にて『人権尊重経営×ダイバーシティ教育』および『コンプライアンス教育』を各工場で出張開催し、従業員の意識向上を図りました。これにより、受講者は当社の人権方針や日常業務に関連する人権課題について理解を深めました。


「人権尊重教育×ダイバーシティ教育」
教育参加人数:935名
プライバシーの保護
リスク事例を社内広報に取りまとめ、全従業員に共有・周知し、意識向上と予防措置の強化に努めています。
多様な人財活躍
職場における無意識の偏見への気づきと影響を理解するために、管理職を対象とした「アンコンシャスバイアス研修」を実施しました。


「アンコンシャスバイアス研修」
参加人数:117名
サプライチェーン
仕入先に対して『仕入先サステナビリティガイドライン』および『サステナビリティチェックシート』を展開し、現状を確認するため訪問を行い、技能実習生を含む人権課題について共有しました。訪問先では生産現場の従事者から日常の取り組み状況を確認するとともに、技能実習生の有無や雇用状況等について実地確認を行いました。

仕入先訪問:4社
③追跡
人権尊重の浸透を図るために従業員へeラーニングを実施しました。
| 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|
| 人権方針の理解 | 54% | 80% |
| 救済窓口の理解 | 42% | 88% |
| 人権課題の理解 | - | 89% |
社内アンケートを実施し、その結果を基に解析を行いました。解析結果を踏まえ、人権やコンプライアンスに関する理解を深めるための教育プログラムを社内で実施するとともに、定期的な社内広報やポータルへの情報発信を行いました。その結果、従業員の各課題に対する認識と理解が向上しました。
④情報開示
eラーニングの結果は社内広報で全従業員に展開しました。理解度の概要を共有するとともに、今後は研修内容の見直しや定期的な情報発信を通じて人権課題の理解を深めていきます。
苦情処理メカニズム
当社では、従業員およびステークホルダーが利用可能な社内外の相談窓口を設けています。
安心して通報いただくために、匿名での相談・通報や、通報者が不利益な取り扱いを受けないように社内規定で明文化しております。
相談窓口の案件については内部通報対応フロー(公益通報者保護法に準拠)にて適切に対応しています。
人権に関わるコンプライアンス違反などの状況
'24年度の相談窓口への問い合わせ件数はコンプライアンス教育や周知活動などを継続的に実施した結果、'23年度よりも増加しましたが、内部通報相談フローにもとづき事実調査を行った結果、重大な影響を及ぼす人権侵害の事例はなく、個別案件については状況に応じて適宜・適切に対処いたしました。
個別の違反事案について、同様の事象が再発しないよう、コンプライアンスやハラスメントの研修や啓発ツールに適宜反映しております。
風土の醸成(教育・啓発活動)
全従業員が人権全般に対し「知って・学んで・行動」できる風土を醸成するために、人権教育/講演会を実施しています。
また、社内広報などで情報を発信し継続的な啓発に努めています。
人権に関する教育・啓発
| 教育 | 対象 | ねらい | 受講率 |
|---|---|---|---|
| 人権尊重講演会 | 希望者 | 外部講師を招請し人権意識向上 | ー |
| 階層別教育/新任役職教育 | 対象者 | ハラスメントなど職位毎の必要教育 | 100% |
| 新入社員教育/キャリア社員教育 | 新入社員 | 人権に関する意識向上と未然防止 | 100% |
| 倫理月間による啓発 | 全従業員 | eラーニングなど活用し意識浸透 | ー |
人権尊重講演会
愛三工業人権方針の策定以降、世界人権デーに合わせ外部講師を招請し人権を身近に 感じてもらい、人を思いやる心をもって行動できる風土を醸成しています。
- 人権講演会には、国内G会社、愛協会も参加しています。
| 年度 | 題目 | 講師 | ねらい |
|---|---|---|---|
| ‘22 | 今、企業に求められる 「ビジネスと人権」への対応 |
名古屋法務局 | 人権尊重経営への理解と課題整理 |
| ‘23 | かんたん人権講話 ~涙と笑いの人権ばなし~ |
落語家 林家うん平 |
人権を身近に感じ人権を尊重する大切さを学ぶ |
| ‘24 | 仕事と介護の両立 ~人権と介護のかかわり~ |
(一社)KABS 和氣美枝 |
人権と介護の関わりを知り、介護との向き合い方を考える |
講演会参加人員
| 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|
| 参加者数 | 64人 | 417人 | 387人 |
- 当日参加者のみ
人権尊重講演会
’24年12月11日開催

ステークホルダーエンゲージメント
当社が事業活動を行い、長期安定的な企業価値の向上を実現していくためには、ステークホルダーと良好な信頼関係を構築することが不可欠となります。
当社は、ステークホルダーとの対話を通じて得られた意見および懸念を経営判断に適切に反映させるための仕組みを整備し、情報開示の透明性を確保するとともに説明責任を徹底します。また、顕著な業界特有の人権課題を特定するためにステークホルダーの声に真摯に耳を傾けてコミュニケーションを重ね、確認された課題に対しては関係者と連携して是正措置を講じ、予防的措置を推進します。
主な対話手段
| ステークホルダー | 主な対話手段 |
|---|---|
| 従業員 | 労使懇談会、労使協議会 |
| 国内グループ会社 | 国内G人事労務連絡会 |
| 海外グループ会社 | 拠点長会議 |
| 取引先 | 調達方針説明会 |
| 顧客 | 方針説明会、期待値懇 |
| 株主・投資家 | 株主総会、情報開示(統合報告書など)、証券アナリスト・機関投資家向け説明会 |
| 地域社会 | 当社イベント招待、地域イベント参加、地域懇談会 |
愛協会トップ研修
研修会の中で、当社の人権尊重経営×ダイバーシティの取り組み報告と各企業の取り組みをグループディスカッションしてお互いに理解を深めました。

