ガバナンス

社外取締役メッセージ

愛三工業の企業価値向上の取り組みについて

社外取締役の大井氏、柘植氏、入部氏に取締役会の実効性強化や企業価値向上についてお考えを伺うとともに、当社の取り組みについて取締役副社長の中根と意見交換を実施しました。

左から取締役副社長・中根 徹、社外取締役・入部 百合絵、社外取締役・柘植 里恵、社外取締役・大井 祐一

世界と果敢に戦う人財育成を進めてほしい。
PBR上昇には新たなIRの取り組みも必要。

社外取締役 大井 祐一

私たち社外取締役は、それぞれ期待されるスキルや経験に基づき、議案が上程された背景を理解し意見を述べることが役割であると考えており、取締役会ではいつも公平な立場で遠慮なく発言させてもらっています。正しい議論を行うためには、当社や業界への知識が必要ですが、経営役員や従業員の皆さんとの意見交換の場を設けてもらうなど、その実情を知る機会も多くいただいています。様々な分科会への出席や環境展、技術発表会、工場の改善活動発表会、愛三学園の見学などを通じて、当社の事業環境への理解を深めています。

VISION2030目標達成への取り組みは着実に進んでいると評価しています。懸念は、海外売上高比率が高くなる中で、世界と戦うための事業戦略のスピードアップができるかという点です。日本以外で強みが見出せそうな地域や事業へ資本を投下する際に、将来性や事業リスクを的確に判断し、投資実行できる人財を育成する必要があります。私は海外経験のある社外取締役として、海外拠点とのコミュニケーションの取り方や、海外事業に携わる現地責任者育成の考えを今後聞いていきたいと思います。PBR(株価純資産倍率)改善に向けては、株価を上げるために地道なIR活動で当社の魅力をアピールすることが重要だと考えます。さらにIR活動における新しい取り組みを検討すべき時かもしれません。

副社長コメント

現在の取締役会は自由闊達な意見交換の場に変化させてまいりました。ただ、現状に満足することなく、将来を見据えた経営方針の加速や転換も視野に入れなければなりません。今後は事業ポートフォリオの変革など大きな決断も含めた議論を交わして変革の時代を生き抜かねばならないと考えており、社外取締役の皆さんには引き続き広い視点での経営方針のご指導をいただきたい所存です。自社や業界だけの目線での最適解を求めるのではなく、日本経済全体を視野に入れた持続可能な成長への期待に応えるため、引き続きご意見を頂戴したいと考えています。

オフサイトミーティングを活用し
経営に関する大きなテーマも積極的に話し合いたい。

社外取締役 柘植 里恵

近年の業績は過去最高益の更新もあって高く評価しています。MMK(もっとものづくり強化)活動やROIC経営に真摯に取り組んできた成果が収益力向上に少しずつ表れてきた結果と捉えています。後述する2件のM&Aも、企業価値向上につながる新しい取り組みとして期待しています。

2024年から始めたオフサイトミーティングは、私からの提案をきっかけとして実現したもので、初回は試験的な位置づけで大きなテーマを扱えなかった課題も残りましたが、社内の取締役の皆さんも自身の言葉で積極的に発言されて有意義な時間となりました。この取り組みは継続し、次回以降さらに深いテーマで意見を交わしたいと考えています。

2023年度には、新規事業の将来への投資として、2社のM&Aを実施されました。積極的に広く市場を捉え、実行に移される姿勢は前向きなもので、就任から10年で企業風土に大きな変化が起きている実感を抱いています。

人的資本経営について、私はダイバーシティや女性活躍の取り組みに携わっています。女性活躍については、役職者への研修実施や、男性育児休業取得率の上昇からも意識変化を感じています。もう一歩先へ進むには新しい風を入れるべきとも考えており、他業種で活躍する女性も積極採用して社内の価値観変容に取り組むべきだと思います。

副社長コメント

2023年度にはご指摘の通り中期経営計画の前倒し達成を果たし、一定の成果を得られたと考えています。ただし今後の日本のものづくりを考えると、日本全体に収益改善の活動と成果を広める必要があり、そこで当社の企業価値が評価されることを望んでいます。そのためにはさまざまな意識改革が必要で、柔軟性を持たせた勤務形態や海外人財にも開かれた社風をつくりあげ、社外の考え方を積極的に吸収するように引き続き変革を進めていかなければなりません。

また新規事業の推進では、事業再編の観点も必要です。これらに果断に推し進めることができる人財の育成にも積極的に取り組んでまいります。

全社のデータ収集と
共有のシステム化と有効活用がこれからのDXの課題。

社外取締役 入部 百合絵

ダイバーシティを高めるため、柔軟な勤務形態の導入やキャリア女性のロールモデル育成に私も賛成です。役職者への昇進が負担に感じる方もいらっしゃるでしょうが、仕事の自由度が増す楽しさや達成感を多くの方に味わってほしいと考えています。

近年は将来の労働人口減少を見据えた工場の省人化に積極的に取り組み、現場のアイデアを実践して時間や工数を短縮されています。改善度合いの数値化、協働ロボットの導入も試行錯誤の段階ですが今後の成果に期待しています。

DX化のメリットの一つに、技能の継承があります。愛三学園の取り組みでは、ベテラン社員と新入社員の製造工程をカメラやセンサーで数値化し、手足を動かすタイミングやテンポ、姿勢などを比較しています。新人教育に反映すれば人的ミスの軽減や労働環境の改善にもつながると考えています。一方でDX化の課題は、各部署で分散しているデータ収集と共有のシステム化です。すでに試験的なシステムづくりには着手されましたが、共有データをどう活用していくかが課題なため、各部署に業務の流れをヒアリングしてもっと業務の自動化を試みるべきです。DX化で他に何ができるか、会社のビジョンに沿ってどう進めるかというロードマップを作成し、実際に進める中で想定外な問題や障壁があれば都度修正していく柔軟性も必要です。DX化は数ヵ月単位でできるものではないため、地道に小さな成功を積み上げていただきたいです。

副社長コメント

DX推進は発展途上にあるのが当社の現状ですが、デジタル化が目的ではなく、個別の業務を分解して無駄を取り除き、必要な部分だけをデジタル化することで、新しい発想で付加価値を生み、グループ全体で成果を上げられるように進めてまいります。
また、今後の成長戦略においては当社が創造し続けるべき価値を明らかにし、それを実現するために磨き続けていく技術や育成すべき人財像を見極める必要があります。これには幅広い知識が必要で、専門知識を持つ社外からのご教示をいただきながら深い議論ができる場を増やしていきたいと考えています。