環境

TCFD提言に基づく情報開示

TCFD提言に基づく情報開示

近年、パリ協定で掲げられた1.5℃目標の達成に向け、世界的に脱炭素化の動きが加速しています。日本においても、エネルギー政策のもと、エネルギーの安定供給や経済成長と両立した脱炭素化の実現が求められており、気候変動への対応は企業にとって重要な経営課題となっています。
愛三グループでは、このような事業環境を踏まえ、気候変動問題を重要な経営課題の一つとして認識し、2022年5月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。以降、TCFDの提言に基づき、気候変動が事業活動および中長期的な企業価値に与える影響について、リスクと機会の両面から分析し、対応を進めています。
今後も、気候変動への取り組みの実効性を高めるとともに、TCFD提言に沿った情報開示の充実を通じて、持続的な事業成長と企業価値の向上を目指してまいります。

ガバナンス

CROを委員長とするサステナビリティ委員会において、気候変動問題を含むサステナビリティ分野全般の方向性や適正性を確認しております。気候変動問題については、サステナビリティ委員会の下部のカーボンニュートラル推進会議(3ヵ月に1回以上開催)において、気候変動問題に関連する計画の策定、実行および管理を行います。
年2回開催するサステナビリティ委員会において、カーボンニュートラル推進会議、全員活躍推進会議およびガバナンス会議から報告を受け、内容を審議しています。これらの審議の結果のうち、気候変動を含む重要事項は少なくとも1回/年以上取締役会や経営役員会に報告し、取締役会の監督を受けています。

サステナビリティ委員会と関連する組織図

25年度開催実績と主な議題

取締役会 サステナビリティ委員会 カーボンニュートラル推進会議
開催回数 1 回 3 回 4 回
議題
  • サステナビリティ活動状況
  • 25年度重点活動
  • サステナビリティ関連会議体の見直し
  • 25年度重点活動年央点検
  • TCFD開示内容について
  • 2025年度算定の状況と課題
  • CFP算定の現状と課題
  • 2025年度CN基盤方針進捗
  • 開催回数:気候変動関連の内容が含まれた回数

戦略

シナリオ分析の前提

愛三グループは、車の電動化の普及の節目となりうる2030年時点に加えカーボンニュートラル目標の2050年の事業影響について、愛三グループ(連結)を対象としたシナリオ分析を実施しました。シナリオ分析は、不確実な将来に適切に対処することにより、持続可能な競争力の強化を図ることを目指して、1.5℃/2℃および4℃の複数のシナリオを採用しました。この2 つのシナリオについて、移行リスクの分析では、主に国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook2024などを参照し、物理リスクの分析では、主に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6 次評価報告書などを参照しました。

4℃シナリオ 1.5℃/2℃シナリオ
想定される
世界

物理リスク拡大

  • 異常気象による被害の拡大
  • 現状を上回る対策をとらなければ、 2100年までに3.3~5.7℃上昇(産業革命時期比)

移行リスク拡大

  • 政策や市場の変化によるリスクの拡大
  • 厳しい対策をとれば、2100 年までに1.0~2.4℃上昇
    (産業革命時期比)
代表
シナリオ
移行
リスク
  • STEPS (Stated Policies Scenario)
    各国が公表しているエネルギー政策を反映したシナリオ
  • NZE (Net Zero Emissions by 2050 Scenario)
    2050年世界ネットゼロを達成するためのシナリオ
  • APS (Announced Pledges Scenario)
    有志国が宣言した野心を反映したシナリオ
物理
リスク
  • SSP 5-8.5
    化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない最大排出量シナリオ
  • SSP 1-1.9
    持続可能な発展の下で気温上昇を1.5℃以下におさえるシナリオ
  • ※SSP:共通社会経済経路/Shared Socio-economic Pathways

シナリオにおける社会像

1.5℃/2℃シナリオでは、炭素税の導入やGHG 排出規制の強化・厳格化など、現在よりも社会の脱炭素に向けた政策・法制度が整備され、当社を含む自動車業界では、製造工程のみならず、素材や走行時から廃棄に至るまでの製品ライフサイクルでのCO2排出削減が強化・厳格化されることを想定しています。その結果、新車販売の中で、電気自動車(BEV) ・プラグインハイブリッド車(PHEV)・燃料電池車(FCV)のシェアが広がることを想定しています。
一方で、4℃シナリオでは、地球温暖化が進行することで、自然災害の頻発化・激甚化・長期化が進み、被災によりサプライチェーンが寸断され、生産の一時停止などが発生することを想定しています。

気候変動に伴い想定されるリスクと機会

愛三グループでは、シナリオにおける社会像に基づき、「ステークホルダーにとっての重要性」と「愛三グループにとっての重要性」を考慮した上で、愛三グループにとってのリスクと機会を整理しました。長期時間軸として2050年を想定した、各国・地域の状況や事業内容を踏まえたリスク・機会の抽出を行いました。その中で、特に重要度が高いと判断した項目についてそれぞれの2030年度における財務影響の評価を行い、リスク軽減と機会創出の対応に取り組んでいます。

気候変動リスク・機会と対応

区分 内容 時間軸 影響度 愛三グループの対応
移行リスク
政策・法規制
温室効果ガス
排出規制
エネルギー政策強化と再エネ使用による製造コストの増加 中期~長期
炭素税導入 炭素税導入による生産コストの増加 中期~長期
炭素税価格転嫁による調達コストの増加 中期~長期
技術
低・脱炭素製品の需要拡大 新分野の移行遅延による投資コストの回収遅れ 中期~長期
市場
顧客価値観の変化 電気自動車(BEV)の増加によるエンジン部品の販売量減少※1 中期~長期
評判
環境への取り組みや開示の不足 企業価値低下、顧客信頼度低下 中期~長期
物理リスク
急性
自然災害の頻発・激甚化・長期化 サプライチェーンの寸断による一時的な生産停止 中期~長期
機会
技術
電動化の加速と業界再編 基幹製品のシェア増加 ~中期
市場
低炭素製品の拡張・開発 水素エネルギー活用拡大に伴う水素供給ユニットの収益増加 中期~長期
電動車(BEV、PHEV、FCEV)増加による電動化製品への参入機会の増加※1 中期~長期
カーボンニュートラルに関する新分野の事業機会拡大 中期~長期
低排出に貢献する製品需要の拡大 中期~長期

【時間軸】短期:~2026年 中期:~2030年 長期:~2050年
【影響度】単年度の営業利益に与える影響:大 20億円以上、中 1億円~20億円未満、小 1億円未満
【愛三グループの対応】 2025年2月に発表した中期経営計画に脱炭素に向けた計画および気候関連リスクの軽減と機会創出の取り組みを織り込んで活動を推進しています。

  1. 台数前提は2℃シナリオにて算出
  2. FFV : Flexible-Fuel Vehicle

財務影響

【1.5℃(2℃未満)シナリオ:脱炭素社会への移行が進む】
炭素税導入によるコスト増、エンジン部品の販売量減少他による2030年の影響額(リスク)を約210億円と想定しました。一方で電動化の加速による業界再編や低炭素製品の拡張・開発による2030 年の影響額(機会)を約230億円と想定しました。

【4℃シナリオ:地球温暖化が進む】
自然災害の頻発・激甚化などによる2030年の影響額(リスク)を約6億円※1と想定しました。

  1. 愛三単独の影響

リスク管理

愛三グループは、リスクマネジメント委員会において、カーボンニュートラル推進会議から報告を受けた経営に重要な影響を与える気候変動リスクの他に、さまざまな部署から構成されるリスクオーナーより定期的に意見を集約し、重点リスクの見直しを行います。また、インシデント情報の共有強化、リスク対応状況の評価などを行い、必要性に応じて取締役会へ報告します。取締役会はリスクマネジメント委員会を監督し、必要な指示や助言を行い、そのプロセスの有効性についても年1回以上の頻度でレビューしていきます。
また、リスクが顕在化した場合は、CROの指示に基づき速やかに対策本部の設置とインシデント対応ができる体制を整備しています。

指標と目標

外部環境を踏まえ、当社の中期経営計画(2025-2030)では、持続可能な循環型社会の実現に向け、気候変動リスクに対応するための移行計画を策定し、インターナルカーボンプライシング(ICP)を活用したカーボンニュートラル関連投資など温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。また、新分野・将来製品への足掛かりとして、あらゆるエネルギー・モビリティの進化と、モビリティの枠を超えた領域でも社会課題解決に貢献してまいります。

カーボンニュートラル目標(2030年度)

課題 項目 目標値
カーボンニュートラル Scope1&2 2019年度比 ▲60%
Scope3 2019年度比 ▲28%
再生可能エネルギー率 55%
創エネルギー率 5%
サーキュラーエコノミー 廃棄物ゼロエミッション 2019年度比 ▲5%(原単位)
ネイチャーポジティブ 水使用量 2019年度比 ▲5%(原単位)