環境

気候変動

TCFD提言に基づく情報開示

愛三グループは、気候変動問題を重要な経営課題の1つとして認識し、
気候変動への取り組みを強化するとともに、
TCFD提言に沿った情報開示を進めてまいります。

ガバナンス

CROを委員長とするサステナビリティ委員会において、気候変動問題を含むサステナビリティ分野全般の方向性や適正性を確認しております。気候変動問題については、サステナビリティ委員会の下部委員会であるTCFD委員会(3ヵ月に1回以上開催)において、気候変動問題に関連する計画の策定、実行および管理を行います。

サステナビリティ委員会とTCFD委員会の関係図

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リスク管理

愛三グループは、サステナビリティ委員会において、TCFD委員会から報告を受けた経営に重要な影響を与える気候変動リスクのほかに、各委員会から報告されるその他の経営に重大な影響を与えるリスクを含めて、総合的なリスク管理を実施しています。各委員会から報告されたリスクは、抽出・分析・発生の可能性と影響度を考慮し評価を行った上で優先的対応リスクを選定し、所管部署が中心となってリスク低減に関する各種施策を実施しています。具体的には欧州等の電池規制に向けたカーボンフットプリント(CFP)への対応や当社製品の環境リスク把握と低炭素製品に向けた付加価値向上等を進めています。
各委員会は、各種施策の進捗状況やリスクの最新状況を確認するとともに、サステナビリティ委員会に重要事項を報告しています。サステナビリティ委員会は、報告に基づいてリスク管理に関する指示・監督を行っています。ガバナンス委員会において気候変動を含めた全社リスクアセスメントを実施しており、「重点リスク」を特定しています。

  • 各委員会:カーボンニュートラル委員会、安全衛生委員会、働き方改革委員会、BCP委員会およびガバナンス委員会

指標と目標

2024年度は気候変動への国際的な対応が新たな局面を迎え、COP29では、パリ協定で定めた1.5℃目標達成に向け、各国が定める削減目標の引き上げの必要性が求められました。また、日本の第7次エネルギー基本計画では、2040年やその先のカーボンニュートラル実現に向けた今後取り組むべき政策課題や対応の方向性がまとめられ、エネルギーの安定供給、経済成長、そして脱炭素の三つを同時に実現していく必要性が示されました。
こうした外部環境を踏まえ、当社の中期経営計画(2025年~2030年)では、持続可能な循環型社会の実現に向け、気候変動リスクに対応するための移行計画を策定し、インターナルカーボンプライシング(ICP)を活用したCN関連投資など温室効果ガス排出量削減に取り組んでいます。また、新分野・将来製品への足掛かりとして、あらゆるエネルギー・モビリティの進化と、モビリティの枠を超えた領域でも社会課題解決に貢献してまいります。

カーボンニュートラルに向けた2030年の主な⽬標値

区分 項目 目標値
CO2排出量削減(2019年度比) ①Scope1&2 60%削減
②Scope3 28%削減
クリーンエネルギー活用 再生可能エネルギー 55%
創エネルギー 5%
資源循環(2019年度比) 廃棄物ゼロエミッション 5%削減(原単位)
自然共生(2019年度比) 水使用量 5%削減(原単位)

戦略

複数(1.5℃/2℃・4℃)のシナリオにおける社会像に基づき、2030年度に加え2050年度のリスクと機会を整理した上で2030年度における財務影響の評価を行い、リスク低減と機会創出の対応に取り組んでいます。

  • 1.5℃/2℃:NZE(2050年世界ネットゼロを達成するためのシナリオ)、APS(有志国が宣言した野心を反映したシナリオ)
    4℃シナリオ:SSP5-8.5(化石燃料依存型の発展の下で気候政策を導入しない最大排出量シナリオ)

気候変動リスク・機会と対応

区分 内容 時間軸 影響度 愛三グループの対応
移行リスク
政策・法規制
温室効果ガス
排出規制
エネルギー政策強化と再エネ使用による製造コストの増加 中期~長期
  • 徹底的なムダ取り改善
  • 国内改善アイテムのグローバル展開
炭素税導入 炭素税導入による生産コストの増加 中期~長期
  • エネルギー使用の高効率化
  • 再生可能エネルギーの導入
  • アンモニア水素発電等によるクリーンエネルギーの創出
炭素税価格転嫁による調達コストの増加 中期~長期
  • 低CO2材の採用
  • 廃棄物低減・リサイクル
  • 仕入先とのCO2改善活動
技術
低・脱炭素製品の需要拡大 新分野の移行遅延による投資コストの回収遅れ 中期~長期
  • 環境変化を考慮した将来製品の事業企画とリソーセスの重点投入
市場
顧客価値観の変化 電気自動車(BEV)の増加によるエンジン部品の販売量減少※1 中期~長期
  • 技術と強みを活用した脱炭素に資する新規領域の事業育成
評判
環境への取り組みや開示の不足 企業価値低下、顧客信頼度低下 中期~長期
  • CO2削減の取り組みによる評価機関スコア向上(CDP等)
物理リスク
急性
自然災害の頻発・激甚化・長期化 サプライチェーンの寸断による一時的な生産停止 中期~長期
  • BCP体制のさらなる強化
    • 在庫管理の精度向上
    • サプライチェーンBCPの継続
機会
技術
電動化の加速と業界再編 基幹製品のシェア増加 短期~中期
  • 競合に対する優位性確立
    • 次期型ダントツ製品への切替
    • ものづくり強化(マルチ組付け)
市場
低炭素製品の拡張・開発 水素エネルギー活用拡大に伴う水素供給ユニットの収益増加 中期~長期
  • 次世代FCV/水素エンジン向け製品開発推進
電動車(BEV、PHEV、FCEV)増加による電動化製品への参入機会の増加※1 中期~長期
  • 「軽量/高効率/低コスト」なシステム・コンポーネントの提供
  • 固有技術を活かした製品開発
  • 将来製品生産工場の新設
  • 小型モビリティ向けの製品開発
カーボンニュートラルに関する新分野の事業機会拡大 中期~長期
  • 新技術/新分野の研究開発
    • アンモニア供給系コンポーネント
    • 小型FCモジュール
低排出に貢献する製品需要の拡大 中期~長期
  • 既存技術を応用した自動車向け製品開発(FFV※2技術)
    • 合成燃料/バイオ燃料対応製品

【時間軸】短期:~2025年 中期:~2030年 長期:~2050年
【影響度】単年度の営業利益に与える影響:大 20億円以上、中 1億円~20億円未満、小 1億円未満
【愛三グループの対応】 2025年2月に発表した中期経営計画に脱炭素に向けた計画及び気候関連リスクの軽減と機会創出の取り組みを織り込んで活動を推進しています。

  1. 台数前提は2℃シナリオにて算出
  2. FFV : Flexible-Fuel Vehicle