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「内燃機関の再循環排気ガスの冷却通路切替弁」で愛知発明賞を9年連続受賞

2025年05月21日

製品・技術

愛三工業株式会社(本社:愛知県大府市、取締役社長:野村得之、以下、当社)は、一般社団法人愛知県発明協会が主催する令和7年度愛知発明表彰において、「内燃機関の再循環排気ガスの冷却通路切替弁」の特許(特許第7240216号)で愛知発明賞を受賞しました。当社の受賞は9年連続となります。

自動車分野のカーボンニュートラルに向けて、今後は電気自動車(BEV)の増加が予測されますが、パワートレインのベストミックスによりBEVとエンジン(内燃機関)搭載車が共存しながら市場が広がっていくと考えられます。

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エンジン搭載車にあっては、排気ガスの浄化、燃費の向上などの環境対策が不可欠であり、排気ガスを吸気通路に戻して再び燃焼にさせるためのEGRシステム(排気ガス再循環システム)が重要なアイテムとなります。

EGRシステムには、循環させる排気ガスの温度を調整する冷却通路切替弁が備えられており、特に細かい温度制御が求められる場合には電動式冷却通路切替弁が適しています。しかしながら、この電動式冷却通路切替弁には、耐久性能や弁体のシール性に関して課題がありました。
本発明では、バネ(リターンスプリング)とギヤの構成を最適化することで、この課題を解消しました。

電動式冷却通路切替弁の構成と課題.png

課題

高温による変形
弁体が開くようにバネが作用する構造のため、弁体を閉じた状態では、バネによって、弁体や弁軸にねじりの力がかかる。
このため、高温の排気ガスによって弁体や弁軸が温められ強度が低下すると、バネのねじりの力がかかる部分(応力大の部分)に変形が生じる。

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弁体のシール性不足
ギヤがケースに直接当たり動きが制限されるため、部品の寸法バラツキによっては、弁体が浮き、完全に閉まらない状態となり、シール性が得られない。

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本開発

【構成】
弁体が閉じる方向にバネが作用し、弁体が閉じた状態において、バネから弁体や弁軸に作用する力が小さくなる構成とした。

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【効果】
高温となっても弁体・弁軸は変形しない。

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【構成】
ギヤとケーシングとの間に隙間を設けることで、部品の寸法バラツキがあったとしても、ギヤとケーシングが直接当たらない構成とした。

②2.png

【効果】
弁体が確実に閉じるため、シール性を確保できる。

②3.png

図3.課題と本発明の構成と効果

本発明により、EGRシステム用の電動式冷却通路切替弁において、耐久性能や弁体のシール性の確保が可能となりました。
この冷却通路切替弁を搭載する車両の普及を通じて、自動車のパワートレインのベストミックスを可能にし、環境負荷軽減に貢献してまいります。


【本件に関する問い合わせ先】
愛三工業株式会社 経営企画部 広報IR室
Tel: 0562-48-6215(直通)|Email: press@aisan-ind.co.jp